王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
3
次に視界に飛び込んだのは、既に見慣れたフレデリック様のお屋敷の天井。私はあてがわれた客間の寝台で、いつも通り横たわっていた。
その事に、物凄く安堵している自分がいた。
もし、目覚めて視界に映ったのが、あの両親であったなら……。
考えるだけで身震いした。
そうして天井を眺めながら、思い出すのは最後に見た英美里の目。あの瞬間、英美里の瞳は確かに現の色を映していた。
真実は知る由もない。
……だけど英美里なら、きっとエミリーとしての人生を後押ししてくれた。
私はそう、確信していた。
私の心の中に、今も昔も英美里はいる。だけど今、英美里は愛しい記憶のひと欠片に形を変えて、優しい存在感で共にある。