王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
けれどビクリと体を固くする私を見て、フレデリック様は指を引かせた。
その瞳が、傷ついているように感じるのは気のせいだろうか……?
「……やはり、俺の募る願望が幻聴を聞かせたのだろうか?」
フレデリック様は寂しそうに微笑んで、もう一度そっと、そおっと指を寄せた。予期した再びの接触を、私は静かに受け入れた。
私を宥めるように、慰めるように、フレデリック様の指先が頬を撫でる。私は心地よいそれに身を委ねる。
間近に、フレデリック様と目線が絡む。その瞳からは、フレデリック様の強さばかりじゃない、胸に渦巻く期待や不安といった感情までもが、余さずに伝わってくるようだった。
「フレデリック様……」
決意と自信に満ち溢れた、先のフレデリック様の告白。けれど今、対峙するフレデリック様から滲むのは、そんな感情だけじゃない。……だけどそんなのは、当たり前の事。