王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
人は皆、己の心の内に迷いや不安を抱えながら、日々最善を模索して歩んでいる。人生は取捨選択の連続で、数多ある選択肢に惑わされ試されている。
その選択肢の中でも、愛にはきっと答えがない。愛は試験や昇級と違い、目に見える指標がない。その分、突き進むには一層の勇気がいる。
「さっきの言葉は、夢でも幻聴でもありません」
ならば、その勇気を真っ向から受け止めないのは、不誠実以外の何物でもない。
告げた瞬間、頬にあるフレデリック様の手がビクリと揺れたのを、私は肌で感じていた。
「先日のフレデリック様の告白、正直に言えばとても驚きました。驚きのまま、意固地に『綺麗ごと』と言い放った私は最低です。だけどそれもまた、あの時の私の正直な思いでした」
先日の傷に塩を塗り込むような言葉を再び聞かされて、フレデリック様の瞳が暗く陰った。