王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 一行がぞろぞろと我が家から出ていく中、フレデリック様は一番最後まで残った。そうしてフレデリック様は出掛けの玄関で私に向き直ると、躊躇なくその腰を折った。

「やめて下さい! フレデリック様は、師団長として当然の行動をしただけです。だからフレデリック様に謝っていただく必要はありません」

 師団長、しかもその身分は、本来なら目線を合わせるのだって恐れ多い雲上人の王子様。そんなフレデリック様が、一切の躊躇なく村娘に頭を下げてみせる。

 この状況に、私は物凄く動揺していた。

 頭を上げてもらおうと、逞しいその肩に手を添えたのも、無意識の行動だった。

 ガッシリとした感触と人肌の温もりを手のひらに感じて初めて、自分が許しなく王子殿下に触れる不敬を犯している事に気付いた。

「あ、すみませっ!?」



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