王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
サントマルク王国全体で見れば、独身者というのはいまだ少数派だ。特に地方では、結婚は早いほどいいという、前時代的な価値観がいまだ蔓延している。
しかし王都では、人や物、情報の集約と共に、急速にその価値観が多様化していた。そこには当然、おひとりさま向けの潜在需要だってある。
個食にターゲットを絞った『ひとり焼肉ブラボー』は、おかげさまで盛況を泊していた。
とはいえ、アイリーンのような貴族令嬢が実業家として自立して働こうなど、ほんの十年前には考えられなかった事。
しかしアイリーンは三年前、全ての反対や逆風を跳ねのけて、私が伝えた先用後利をいち早く王都で実践した。アイリーンの実業家としてのスタートは、私の作った薬の委託販売業だった。