王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
私もまた「お友だち」が好きだった。「お友だち」は少し軽薄にも見える若いお兄さんだった。けれど会えば気さくに私の頭を撫でて、一緒に遊んでくれた。
ともすれば、父よりもずっと打ち解けた態度で私に接してくれていた。
なにより私自身「お友だち」に対しては、どこか懐かしいような、安心するような、とにかく絶対的な信頼を寄せていた。
だけど子供心に、「お友だち」の事をお父さんよりも好きになってしまうのは、いけない事のような気もしていた。
こうして幼い私は日中いっぱいを母と、「お友だち」の自宅マンションで過ごして帰宅した。
その日の夕食の席、私は乳児食を食べながら、母と父の会話を聞いていた。
「今日は出掛けていたのか?」
「ええ、ちょっとお友だちのところに」
「そうか……」
少なくとも表面上は、和やかな家族団欒の時間がそこにはあった。
食事を終えれば、両親と居間に移って寛ぐ。
「前に話していたママ友って人のところかな。ま、どっちにしても仲がいい事だね」
母が席を立った時に、父がそう呟いた。
「お友だち、いつも男の人」
私は何の気も無しに、そう答えた。