王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
何故、私が高校卒業を待たずに家を出るに至ったか……。
あの一件を思い返す時は、いつも全身がわなわなと震える。けれど震えは単純に、された行為への嫌悪だけではない。口を噤むしか出来なかった、自分に対する憤りと怒りも、震えの原因になっている。
最後まで奪われた訳じゃない。
けれど、もっとも安全であるべき自宅で、体をまさぐられながら目覚めた事は、恐怖以外の何物でもなかった。
まず、感じたのは匂いだった。
「……ん?」
むわっと漂う酒精の不快さに、無意識に眉間に皺が寄った。
次いで圧し掛かる重みと、首元に落ちた湿った感触で、一気に意識は浮上した。
「な、なにっ!?」
けれど覚醒しても、自分の身に一体何が起こっているのか、状況はまるで把握できていなかった。
その時、パジャマの襟ぐりを割り、手のひらが強引に入り込む。圧倒的な嫌悪と恐怖に、目の前が真っ暗に染まる
「いやあーーっ!!」
胸の膨らみをギュッと握られて、私は悲鳴を迸らせながら上に圧し掛かる重みを渾身の力で押しやった。