王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
もたらされた言葉は、私が望んだ慰めの言葉じゃなかった。けれどそれは、母の心の内側に触れる言葉だった。
……母はきっと、寂しかった。
その寂しさを埋めたくて、安易な思いで手近な温もりに縋った。けれどその代償は、不義の子という母にとってあまりにも大きいものとなった。
同じ女として、僅かに同情した。けれどそれ以上に、ふつふつとした怒りが私を焼き尽くしそうだった。
……甘えるな! 寂しさを埋めるのに、男の温もりを求めるな!!
母の心の弱さが私の目に、とても忌まわしい物として映った。同時に、私は絶対に母のようにはなるまいと、心に誓った。
私の人生は、私だけの物。男に顧みられぬからと、別の男の温もりに縋る生き方だけは絶対にするまい。
母への反骨じゃない。強がりでもない。
私はただ、そうありたかった。
「お母さん、私、ここを出る。もし承知してもらえなければ、家の事、全部世間に暴露する。私は、本気だよ」