王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
……わざわざ、お礼を言いに来たと?
「フレデリック様、もしそのハンカチが落としたままの状態で返されていたら、ここには来ていませんでしたか?」
私の問いかけに、フレデリック様は一瞬目を見開いて、そしてスッと細めた。そうして細くした双眸でジッと私を見つめたまま、ゆっくりと口を開く。
「いいや。そうしたら俺は、ここを訪ねる為の別の理由を告げていた」
困惑が先に立つ。
こうも真正面から向けられるフレデリック様の好意……。いや、果たしてこれは、本当に好意なのだろうか?
これは、面白い知識を披露してみせた私に対する「好奇心」ではないだろうか? 王都に住まう数多の美女達に食傷気味のフレデリック様が、箸休めに毛色の違う女に目を付けた。