王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 するとフレデリック様が、おもむろにマントの裾をひと纏めにして、端っこに寄せた。

「!! あ、あっ、あぁぁあああああっっ!??」

 認めて、思わず叫んだ。

「……とまぁ、俺は今、むやみやたらに周囲を歩く事も憚られる状態でな」

 背面を向けたまま、フレデリック様が首だけをこちらに巡らせて、少々きまり悪そうにポリポリと頭を掻いた。

「と! とにかく中に入って下さい!!」

 キィィイイイ――。

 言うが早いか、私はフレデリック様を室内に引き入れて、すぐに扉を閉めた。




< 89 / 284 >

この作品をシェア

pagetop