王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


「それに大した事はしていない。傷んだ木板を取り払ってやっただけだ。老齢の農夫は難儀していたが、俺にはそんなのは造作もない。だが、最後の一枚を撤去した時につい、気が緩んでしまったようだ。杭に引っ掛けたのに気付かず、そのまま立ちあがったらこうなってしまったらしいのだ」
 
 うわぁ。実際に目にしなくとも、光景が浮かんでくるようだ。

「……ん? らしいって??」

「ふむ。その時に、不穏な音は響き渡ったのだ。けれどその時は、マントを割いたくらいにしか思っていなかった。なにより破けた場所も背面で、実際に俺の目には見えなかったからな。だからその時は手伝いを終え、そのまま農夫の家を後にしてしまったのだ。あの時に気付いていれば、農夫の嫁に縫ってもらっていたのだが……」

 ……うそ。穿いてるズボンのお尻が割けたら普通、その衝撃で気付かないもの??




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