王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
「あの、それじゃ、お尻の裂け目に気付いたのはいつだったんですか?」
「川辺で馬に水を飲ませようとした時だ。俺が馬を下りた瞬間に、傍にいた子供らから大爆笑が起こってな……」
そこでフレデリック様は、遠い目をした。
「しかも子供らは腹を抱えて笑うばかりで、いくら聞いても何がおかしいのか言わんのだ。俺は水面で写し見て、はじめて己の惨状に気が付いた」
「……フレデリック様、川ってもしかしてニーディ村の南端を流れる川ですか?」
「ああ」
……ならば十中八九、フレデリック様を笑ったのはアルソー達のグループだ。あの子達はよく、あの川辺を遊び場にしている。
これは後でちょっとばかり、お灸を据えておこう。
「そうですか」
私は縫い終えた箇所の最後を珠結びで留めると、裁縫ばさみでパチンと糸を切った。そうしてズボンを目の前に持ち上げると、ザッと仕上がりを確認した。