王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 人は、完璧すぎるものを前にすれば多少なり気後れし、気を張った状態で長く接していれば当然疲れてしまう。

 けれどフレデリック様という人は、高貴な生まれにありながら、抜け加減が絶妙だった。

 ざっくりと言えば、一緒にいてもこれっぽっちも疲れない。

「そうですか」

 ……とても、不思議な感じがした。
 フレデリック様と軽口で笑い合うこの瞬間、私はなんの気負いもなく自然体で、ただ目の前のフレデリック様だけに集中していた。

 間違いなく、楽しい時間。そして楽しいだけじゃない、満たされた時間。

 フレデリック様といる時間は、私にとって間違いなく幸福な時間。この時間がずっと、続けば……っ!!

 認識した瞬間に、私の胸を恐怖が襲う。目の前のキラキラとした眩い景色は、一瞬で色を失った。



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