* Time of princess *
部屋を出て、トイレやお風呂の場所がどこにあるのかを確認して、旅館の回りを探索する事にした。


旅館は町中にはなく、少し山に入った自然豊かな場所で、近くに小川があり 川の流れはゆっくりで魚が泳ぐのさえ見える透き通る綺麗な水質。


山の自然のマイナスイオンを堪能していると、パキッと小枝が折れる音がして 後ろを振り返った。


あっ熊───じゃなかった。人?
急に気配もなく近くに人がいて、びっくりした。


「お前誰?」


と、私がそっくりそのまま返したいクエスチョンを聞かれ、固まったままでいた。


「人間?」


私よりあなたがね?と思っていると───肩をブンブンと揺すられ、パニックになる。


「あのっ…止めて下さいっ。」


やっと出せた小さい抵抗は…


「何だ、生きてるじゃん。」


バッサリ否定で、何故か抱きしめられている訳がわからない今…。


「驚かせて悪かった…。」


今現在驚きの真っ最中の私の声は聞いちゃくれないみたいなので、無言で押して離れようともがいたが、びくともしない男の腕の中だった。



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