担当の営業社員は傲慢でした。【短編】
“はいはい、残業ね。
なら仕方ない。
じゃあまた今度”

味気ないくらいあっさりとした武からのメッセージに悲しくなった。

あいつの補佐になった頃はデートをドタキャンすると、ものすごく怒られた。

確かに、そんなに怒んなくてもいいじゃん、だって仕事なんだし、そんなことを思っていたのも事実。

でも、そういうことが続き、武の反応が薄くなると、どんどん淋しくなっていった。

だって、怒るってことは武もそれだけ楽しみにしてくれてたってことで。

もう、怒りもしないってことは、それだけ……私に感心がなくなったってことじゃないかな。

慌てて浮かんだ考えを、あたまを振って否定する。

……そんなことはないはず、だ。
< 3 / 26 >

この作品をシェア

pagetop