担当の営業社員は傲慢でした。【短編】
だいたい、補佐に付いてすぐの頃は、あいつの、あまりの忙しさのために、もうひとり補佐を付ける予定だと聞いていたが、いつの間にか立ち消えになっているし。


お風呂の中で膝を抱えて座る。
少しでもささくれ立ってる気持ちを抑えたくて、カモミールの香りの、ミルクバスにしてみた。
というか、ここのところ、これにお世話になりっぱなし。
ついこのあいだ開けたばかりな気がするが、もう残りが少ないのでそろそろ新しいのを買わないと。

……はぁーっ、本日何度目かのため息が落ちる。

帰りに武にメッセージを送ったものの返信はない。
既読すらならない。
前は急な残業になったりすると、武の方から気遣うものが入ってたのに。

……きっと、こういう状態に慣れちゃったから。

無理にそう、自分に言い聞かせる。
きっと、いま、水面に落ちる水滴も、濡れた髪の毛から落ちる滴、だ。


翌日、出社と同時に課長に詰め寄った。
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