担当の営業社員は傲慢でした。【短編】
「そういう話じゃなくて……!」

「そうと決まれば善は急げ。
はい、さっさと帰ろーねー」

席を立った課長は私の肩を掴んで強引に回れ右をさせると、背中をぐいぐい押してくる。
そのまま部屋の外まで出され、しかもエレベーターの降りるボタンまで押してしまった。
まもなく開いた扉に、エレベーターの中にまで押し込まれる。

「じゃあ、月曜日ねー」

満面の笑顔で手を振る課長を最後にドアが閉まる。

……はぁーっ。
また誤魔化された。

いつもそうだ。
この話題になると課長はあの手この手を使って誤魔化してくる。
そんなに私があいつの補佐をやめることに支障があるんだろうか?
いや、社内には私より優秀な人間なんていくらでもいるし。
鶴亀と縁起のいいコンビに固執してるんなら、異常としかいいようがない。
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