MAN of DESTINY王太子の執拗な求愛
お腹が一杯になった美桜は、
川風呂に入る。
もう暗くなったし、大丈夫だろう。
火を焚いて、ミサンガを外し
身体を洗う。
すると、美桜の周りを虹が掛け始めた。
ヤバイ、ケインが近くにいる。
放たれた虹の光が示している。
ミサンガを慌ててはめると虹は消えた。
美桜は指輪に向かって、
「時と場合考えろよ。裸なんだから‥」
と一渇した。
暫くすると馬の嘶きと、
大勢の男達の声がした。
美桜は慌ててリュックをからい
木の上へスルスルスルと登った。
20人位は、いると思う。探せーっ、
1人の男が叫ぶと、
みんな散って行った。
(チッ、人にばかり言わないで、
自分も探せよ。
何探してんのサ
俺様かょ!)
美桜は独り言を呟いた。
しかし彼には見覚えがあった。
ガラシアンで、最初の夜見たあの
イケメンだった。
「ナタリーさんの庭にいた人だ。」
彼はロザリーさんから貰った
腰巻きを暫く不思議そうに
眺めてポイッまた木に掛け、
残り火を確かめながら、また馬を
走らせた。
「あ~ヤバかった。┣¨‡┣¨‡
腰巻き二つしかないのに、
持って行かれたら洗い替えがなくな
る!」
まだ少し濡れた腰巻きをクルクル
巻いてリュックに入れた。
それから何事もなく一週間がすぎ、
明日は買い出しに町に出ようと思った。
このまま進んでいいのかな?
蛇氏の言葉を信じるしかない。
(なんたって、彼は神の使い?
らしいし。)
ぴちゅぴちゅ、ぴちゅぴちゅ
ピーイピーイ
キッキッ
いろんな鳥の鳴き声が谷間に
こだまする、空は青く高い。
「ウ~ン」
小鳥の声と異様な雰囲気で
何となく目を覚ます。
「ウ~ンなん‥だろう。ナニ?」
目をこすりこすり、
だるそうに目を開くと
驚いた。
美桜の目の前に、銀色の冷たい光を放つ
良く切れそうな刃がギラリと光った。
真っ直ぐ美桜の顔面を捉え
右にも左にも動かせない!
ギョッとしつつ自分に掛かる影を、
目で下からたどると太陽を背に受けて、
美桜を上から見つめる視線と美桜のビクついた視線が合った。
(ど!!どうしよう。逃げられない。)
近くでみるとかなりの長身で、
目は千ョコレートブラウン、
ギロリと鋭く生きて光っている。
髪はマッシユウルフで、
緩くパーマがかかって、
いかにも女に持てそうな男だ。
「おい!!そんな格好で、
ぐっすり寝てると、死ぬぞ!!」
カチャリと音がして
剣を持ち替えたんだろう。
西洋剣の長い刃が美桜に向けられている。
鼻の頭をツンツンと軽く挑発してニヤリと笑って来る。
キモッ。