MAN of DESTINY王太子の執拗な求愛
🐝⋆゜
ガラシアンのミシェル邸に着くとクロードが出迎えてくれた。
ヤギが何匹かいて、犬もいた。
動物と暮らす楽しさが
しみじみと分かるとクロードが言った。
クロードの母君も以前と変わらぬ
元気で安心した。
そこで初めてクロードの
婚約内定破棄の話しを聞いた。
クロードは好きな娘がいたらしく、
その娘が消えた事で
丸く収まったとか・・・
まだ内定の段階なので、
何事もなく終わり
内定のソフィは、新しい婚約者が
出来たとか‥
「クロードのようにモテ男が
惚れるなんざ、
そんなにいい女なのか?」
ロベルトが興味深く聞いてくる。
ヴアルタンもレイモンドも
聞きたかった事だ。
「まあ女と言うより、
かわいい系。勿論美人
だけど愛されタイプかなぁ。
睫は真っ黒目は葡萄のような、
ほっぺは桃みたいに丸くて、
口はぽってりしてる。
黒髪は腰まで長くてカールしてる。
まさに女の子って感じだよ。」
「なんか誰かににてないか?」
「ああ、レイモンドのチビだな。
言ってる事が同じだ。」
ヴァルタンはロベルトと
小声で話した。
「体系は?」
「小柄で華奢だけど、ちゃんとある。
一度見たら忘れないよ。
凄く可愛らしいんだ。」
お茶を出しに来たロザリーが
チーズ焼きが大好きで
チョコレートケーキなんか
ひとりで食べてましたよね。
今頃何処にいるやら。
歌も好きで、いっも面白い歌ばかり
歌ってました。
犬達もすごくなっいていて、
いっも一緒に居ましたよ。
「美桜が居なくなって、
みんな寂しいの。」
「美桜・・・?!!」
ナタリーの一言に、驚いて、
3人揃って名前を呼んだ。
それに驚いたのは、
クロード、ナタリー、ロザリ一だ。
「知ってるのか?」
ヴァルタンが美桜の写メを見せる。
3人は顔をちかずけ、
角度をかえて見ているが、首を振る。
「美桜とは違い過ぎる。」
わずかな期待が消えた瞬間だった…。
クロード達とは違い、
レイモンドはホッとしていた。
間違いない、全部美桜に一致する。
美桜がここに来たいきさつから
出て行くまでの経緯を聞いた。
間違いなく美桜のやりそうなことだ。
イタズラから全部、美桜と思われる。
益々美桜が何をしに
自分にちかずいたのか
分からなくなってきた。
此処に美桜がいたのか‥
開放された等身大の硝子の壁から、
キンモクセイの小さな花で
オレンジの絨毯が見え、
走り回るヤギや犬たちは美桜を
個々で待っているのだろうか?
クロードには土下座してでも
美桜をあきらめて
もらわねばならない。
俺自身、美桜を手放せないのだから。
レイモンドの近況を聞かれ、
最近美桜に惚れるが
相手にされないこと、
妬き餅焼かせるため見合いをする事
をヴァルタンが説明して
大笑いされてしまった。
的を得ていたため、反論出来なった。
見合が決まったらクロードに
連絡する事になった。
クロードは親友の
「レイモンドの、
惚れた美桜を見たい‼」
と言われた。
「期待するなよ。ドブスだから」
「しかし、レイモンドが
妬き餅焼くくらい美桜は
モテるんだぞ。」
とロベルトが言うと余計会って
みたいそうだ。
横恋慕しない約束をつけ、
来ることになった。
ロザリー悪いけどチーズ焼き、
作ってくれないか?
美桜に食べさせたいんだ。
良かったらチョコレートケーキも
礼は必ずするから。
ロザリーは快く引き受けてくれた。
美桜の喜ぶ顔を思い浮かべながら帰路についた。
城では王太子殿下の通用門がある。
門を抜けると王太子つきのメイド、執事、側近が出迎える。
美桜に2人分のお茶の用意を頼んで自室に戻る。
チーズ焼き、とチョコレートケーキを
出して、「土産だ、食べろ!」とさしだす。
「いえいえ、
滅相もない“メ“イ“ド如きに
おきずかいなく。」と辞退した。
「チッ、まだ根にもってるのか?」
「フン、」
とそっぽをむく美桜に
「ガラシアン産だぞ
しかもクロードの家のロザリー
が作ったの に、
ざーんねんだな。」
美桜は、一瞬「エッ!!」とした
顔をしたが黙って椅子に座った。
一口食べると、美味しいを
連呼して食べていた。
「懐かしい味か?」
そう聞いたらポローっと頬に涙が落ちた。
本当に、可愛がられていたんだな。
レイモンドは静かに紅茶を
口にした。