MAN of DESTINY王太子の執拗な求愛
🐝⋆゜

言い伝え通り«月の乙女、降り立ちたとき悪は滅び、夜が明ける。»

そうなった事を国中で、喜んだ。



しかしエリックは心から喜べず、
犠牲となった月の乙女の美桜を
妻と共に心配していた。

意識不明が続いて二週間目,
レイモンドは、寝ずに
ずっと付き添った。



眠っているだけなのに、
頬が少し肉が付いた気がする。
まだまだガリガリだがほんの少しだけ。
自分の罪深さを謝りたい。

目を開けてくれ。

検査の結果が詳しく出た。
前と同じだったが、
一つだけ違った。
 
ご懐妊されております。
2ヶ月目に入っておられました。
しかも双子だと思われます。
お見覚えは、?


「あ‥ある!!あるぞ。双子?女の子か? 美桜に似た娘か!!?




 ≪´答えよ。≫

レイモンドは、必死で、問いかけた。

「殿下、それはまだ分かりません。
 男か女か?
 それとも男の子と、
 女の子やもしれません 。」



五十過ぎの院長は、
レイモンドの、いきりだった姿に
困惑しながら答えた。



  「それに!」

レイモンドは、
下向いていたがその一言に顔を上げた。


    「それに‥何だ?」


「美桜様もまだ生死の間を
 さまよって おられます。


 お腹に傷も打撲もなかったのは、
 ご本人は知っておられて、
 かばっておられたのだと 
 推測いたします。

 しかしながら、
 お子様も弱っておられ、
 切迫流産の疑いもありまする。


 これだけ酷い目にあわれながら
 流産しないほうが奇跡と思われます。

 申し上げにくいのですが‥

 ご覚悟はされたが宜しいと思われます。」


ガクガクガクと
崩れ落ちたレイモンドを医者達が
支えた。急いでタンカに乗せ美桜の眠る部屋に運んだ。



あの夜お腹がすいたと、

大泣きをしていたのは、

自分の子どもだったのか。

なぜ気づいてやれなかっ…た?
美桜を一番に信じれなかったんだ。
あんな距離、あの化け物ならば
一っ飛びで行けるはずだ。


妻も子供達も守れない!
俺は、何をしていたんだー!!
子供達は夢に、現れてまで、

必死に必死に助けを求めていたと
言うのに!!


妻や子供達を守れぬ王が、
一国の民を守れるものか!‥


あああー。
レイモンドの悲惨な嘆きは
病院の端々まで伝わり
花でさえ枯れそうになった。


美桜が苦しんでいるとき
のうのうと過ごしていた自分が
許せない!
可愛らしい子供達が可哀想で、
たまらない。

美桜にそっくりでそりゃあ可愛らしいはずだ。なんて事だ。レイモンドは、ショックでその日から一切食事を受け付けなくなった。

食べる事ができなくなった!



それと、同時頃アレンの裁判が始まった。
エミリアと屈託し、
レイモンドに惚れ薬を飲ませ、
エミリアと既成事実を作らせ
国を乗っ取る計画を立てた疑い。



レイモンドから公開処刑の
  申し立てがあった。



死刑は、王太子の願いであり、
揺るがない。
我が妻となる女性に耐え難い
苦しみを与え
また我が孑胎児を死へと
追いやろうとした。

反逆者そのものである!!

許せる事ではない!
引き裂きの刑を希望する。

しかし死刑制度がない国ゆえ

反逆者のみの死刑となる。

縛り首のうえ100叩き、引き回しと、定が下った。
反逆者の末路を、俺の
怒りと苦しみを思い知るがいい
レイモンドの怒りは、
底がなく収まるものではない。

死んでも石を積みカラスの
餌にしてくれよう‼

今まで王や王妃の為働いた事で
1ヶ月、王と妃から猶予が与えられた。
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