十日月夜のおとぎ話
「失礼しましたー」


先生の白熱したお説教が30分ほど続いた後、あたし達はようやく解放された。


「つか、授業始まってるっつの」


サクのつっこみに、あたしは思わず吹き出してしまった。


「あれ? 教室行かないの?」


教室とは違う方向へ曲がろうとするサクをあたしは呼び止めた。


「今から出る気しねーし。つか、もう怒られすぎて神経すり減ったー。屋上で充電してくるわ」



サクは屋上へと続く階段に足をかけると、ふいに立ち止まってこちらを振り返った。

そしてさも当たり前と言わんばかりに口を開いた。





「――お前も行くだろ?」
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