十日月夜のおとぎ話
ノゾムからの突拍子もない提案。


驚いたあたしは、目をパチパチさせて、白く光るパソコンの画面をただ見つめていた。


そしておもむろに手を伸ばしてキーボードを操作する。



――カタカタカタ……



《何それ?どういうこと…?》


《今日は新月だろ?…たとえ、空に存在していても月が見えることはないんだ》


《うん》


《新月から数えて十日目の夜……つまり“十日月”の明かりの下でキスをした二人は、永遠に結ばれるっていう言い伝えがあるんだよ》


《えー。そんなの信じない。聞いたこともないもん》


《ほんとだって。疑うなら、試してみようよ》




《どうやって?》


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