十日月夜のおとぎ話
あの日も今日みたいな強い風が吹いていた。


桜の花びらが……

まるで雪のように舞い……

窓から教室に入り込んできた。



日直の仕事を終えたあたしは一人教室に残っていて、戸締りをしようと窓枠に手をかけた。



「ルナ!」


その声に驚いて振り返ると

クラスメイトの男の子がすぐ後ろに立っていた。



同じクラスになってまだ一度も口をきいたこともないのに。


そんな彼からいきなり呼び捨てにされ、戸惑ってしまう。


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