十日月夜のおとぎ話
《お互いに相手の顔を想像してキスするんだ。そうだな…時間は18時36分にしよう。ちょうど月が、一番高く昇る時間だ》


《そんなの無理だよ。あたしそこまで想像力豊かじゃないもん》



あたしはパソコンのこちら側でクスクス笑った。

いくらなんでも想像だけでキスなんてできるわけがない。



《だったら…》


ノゾムの言葉はそこでいったん止まった。



――カタカタカタ……


あたしは意地悪くわざと急かす。


《なあに?》




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