十日月夜のおとぎ話
――――――
―――――……



「ネクタイ持ってきた?」



放課後の教室。


あたしとサクは向かい合って立っていた。


教室には西日が差して、

その眩しさのせいで、あたしはサクの顔がまともに見られない。


あたしは、鞄から取り出したサクのネクタイを彼に差し出した。


サクはじっとそれを見つめる。



「ルナがつけてよ。これで最後にするから」

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