十日月夜のおとぎ話
サクはポケットから一本のネクタイを取り出した。



「今度はオレが結ぶ。オレ、器用だからルナよりキレイに結ぶ自信あるよ」


冗談っぽくそういうサクの言葉に吹き出しそうになって、あたしも口元が緩む。



「バカ……」



サクの手があたしの方へと伸びる。


ワイシャツの襟を立てて、ネクタイを首にかけた。

それから襟を元に戻して、慣れた手つきでネクタイを結んでいく。



たしかに、あたしより上手いかもしれないなぁ……。


なんてキレイなサクの指を眺めながら考えた。

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