十日月夜のおとぎ話
混乱した頭のまま、玄関のドアを開け、外に飛び出した。



「なんで?」


「いいから乗れって。時間ねーから」


そう言って、彼は自転車の荷台に乗るように、あたしに指示をする。



自転車は風を切って走り出した。


彼の背中を眺めながらまだはっきりしない頭で考える。


これって……つまり……。




「サクがノゾムだったってこと?」
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