十日月夜のおとぎ話
信じられない。

こんな偶然ってあるの?



「じゃ。大学の天文サークルっていうのは……」


「そ。兄貴は実際に……入ってるよ」


「そうだったんだ……」


「兄貴からルナのこと聞かされたんだ。“ルナ”って子と最近チャットで話してるって」


「うん」


「“ルナ”なんて名前、めずらしいじゃん?それだけで、ひょっとしたら……て思ったんだけど。まさか本名をそのまま使うわけねーかなとか色々考えたわけ」


「ごめんね……本名そのまま使って」


「いや、兄貴も本名だし」


「そうなんだ」


「うん。それで一か八か試してみることにした。兄貴に頭下げて、オレがノゾムのふりして話しかけたの」


「それって……いつから?」


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