十日月夜のおとぎ話
あたし達を乗せた自転車はいつの間にか緩やかな上り坂に差し掛かっていた。


「つかお前、マジ重いよ……ダイエットしなさい」


「な……なによー! 女の子にそんなセリフ失礼だよ。サクが体力なさ過ぎなんじゃん」



サクはその後もブーブー文句を言いながらも一度も自転車を止めることなく、坂を登り続けた。




「ほれ、着いたぞ」


鈍いブレーキ音を響かせて、自転車はようやく動きを止めた。



「うわぁ……」


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