十日月夜のおとぎ話
「え? あの話って本当なの? サクの作り話じゃないの?」


あたしはぽかんと口を開けて尋ねる。


サクのことだから、どこまで信用していいのか全くわからない。



「さぁね?」


当のサクも肩をすくませる。


「何よ、それ」


もう……ほんと、いい加減なんだから。


あたしはそっぽを向いてプーとむくれてた。


その時、ふいにふわりとサクの香りがしたかと思ったら、あたしの体はサクの胸の中にすっぽりと納まっていた。



「サク……?」





「だから……ホントかどうか試してみよ?」
< 69 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop