ハナミズキ~あの日の君に恋をする~
「これって…下手したらストーカーだよね?
大丈夫かな?」
「大丈夫なわけねーだろ!
こんなん、ストーカーでしかねー」
「で、ですよね…」
瑞樹くんのいとこの金髪ヤンキーな望くんと
駅裏に来るであろう瑞樹くんを近くの電柱の死角から
待ち伏せする私達はもちろん、
ストーカー以外の何者にも見えないだろ。
あのメールの文章がどうしても気になって…
隣のクラスまで行って望くんに事情を話して
納得してない様子の望くんを無視して
無理矢理連れてきたしまった始末。
望くんは明らか不機嫌そうな顔。
「来ない方が良かったって後悔するかもしんねーよ」
「…どういう意味?」
「…見てりゃわかる」
望くんの視線が私からはずされ、
その視線の先を覗くとそこには…
「あっ…、瑞樹く…っ!?」
私達から少し離れた場所に少し前から立っていた
綺麗で上品そうな女性に近寄った瑞樹くんは……
「瑞樹~会いたかった~♪」
「フッ。まだ1週間も経ってないのに?」
「1週間長かったよ」
「そう?嬉しいな」
女性の肩を抱いたかと思えば
二人の距離は一気に縮まり、
二人は同時に唇を近づけた。
ーーー…えっ…?
「うそ…」
「嘘じゃねーよ。だから言っただろ泣くだけだって」
"アイツを好きになったって泣くだけだぞ"
あの言葉の意味は…こういうことだったの?
「瑞樹くん、彼女いたんだね…あんな綺麗な…」
「ちげーよ。アレはアイツのただの遊び」
「遊びって…」
「来るもの拒まずってやつ?
アイツ女にだらしねーから」
どこかで感じていたかもしれない。
ううん、そうじゃないと思いたかったんだ、私。
瑞樹くんは周りの男子とは何か違うオーラがあって
皆を惹き付ける魅力があって。
どこか、女慣れしてる部分があって…
でも。それを認めたくなくて。
必死に見ないフリをしていたんだ。
ーポツ、ポツ、。
突然降りだした雨が
私を励ましてくれてるように感じて…
胸が苦しくなる。