ハナミズキ~あの日の君に恋をする~
ハンカチとキミ
*花菜side*
「うそ、もう8時!? ヤバイ遅刻!」
季節は肌寒いような、生暖かいような春。
アイロンかけたばかりの制服を身に付け
未だに慣れやしないリボンを適当に結びつける。
左腕につけている時計をチラチラ見ながら
靴を履き、鞄を乱暴に掴む。
「もう、どうして今日に限って…っ」
今日は冬休み明けの始業式だっていうのに。
遅刻なんて冗談じゃない!
「いってきまーす!!」
「気をつけていきなさいよ!
いってらっしゃーい!」
遠くから聞こえてくるお母さんの声を後ろに
学校へと駆け出した。