ハナミズキ~あの日の君に恋をする~
ーキーンコーンカーンコーン
とお馴染みのチャイムと同時に
教室へと滑り込みした。
そんな私を見て
「ギリギリセーフ!!!」
「綺麗なスライディングだったわ!」
なんて突っ込んでくれる声が。
「まだ先生来てないし大丈夫だよ~」
「まじ!?ありがとう!!よかったぁ」
自分の席につき、
安堵のため息を漏らしたその時
「何がよかったーだ。
バッチリ遅刻してんじゃねーか」
と、運悪く来てしまった
担任の教師に頭を軽くこつかれた。
「いった!!えへへへへっ」
「えへへへじゃねーよアホ。
始業式遅れてくるなんて」
「ごめんなさーい!」
軽く謝ってもなかなか
先生の怒りはおさまってはくれず…
「まぁまぁ。先生おおめにみてあげてくださいよー
この子、一応初めての遅刻だし」
神様からの助け船ではなく
親友からの助け船が!!
「まぁそうだな。よし、朝礼始めるぞ!」
先生は頷き、教卓へと向かっていく。
「ありがとう、小梅!(こうめ)」
「フフッ。いいってことよ」
助け船を出してくれた彼女は
小学校の頃から仲良しの小田梅(おだ うめ)。
略して小梅。
キレイな茶髪のロングストレートの髪が特徴的な
とてもスタイルが良くて頭脳明晰な子なんだ。
そんな小梅に私はいつも助けられている。
「花菜が遅刻なんて珍しいから、
何かあったのかと思ったよ」
「あぁ。それがね!」
さっきあったことを話そうとしたけど
「こら!土方花菜(ひじかた はな)!
遅刻したのにも関わらず何をくっちゃべってるんだ」
と、先生に指摘されてしまった…。
先生。私は勉学よりも恋愛に力を入れた方が
身のためだと思います。
恋愛は人を強くする。
成長させるものなのです。
まぁ、未婚者で恋愛未経験の先生には
わからない難問なのでしょうがね?
そして私、土方花菜はとうとう
それに花を咲かせたのです♪
ずーっと素敵な男性が現れてくれることを夢みてきた。
大事な生徒の
大事な恋愛を引き裂くつもりですか?!
キッ!と先生を睨み付ける。
が、先生は全く気づいていない様子なので
なんだかガックリとしてしまう。
「それじゃあ、転入生を紹介する」
へっ?転入生って…まさか
「沖田瑞樹(おきた みずき)くんだ」
先生の合図で、彼が教室に足を踏み入れた瞬間
「「キャーーーーー!!!」」
女子の黄色い歓声が響きわたる。
そして私は喜びを噛み締める。
やっぱり!さっきのイケメンヤンキーくんだ!!
また会えた!やっぱこれって運命!?
「それじゃあ自己紹介をしてもらおうか」
うわぁ、さっそく自己紹介か。
何言うんだろう。心のノートにメモっとかなきゃ!
「えー。沖田瑞樹です。
宜しくお願いします」
…。え、それだけ!?
もっとないの!?好きな食べ物とか!
「よし。じゃあ沖田くんの席は…
土方の隣だな。土方、手をあげてくれ」
「はっ、はい!!ここです、ここ!」
元気よく右手をビシッとあげる私に
沖田くんは苦笑いをしている。
そんな顔も素敵素敵素敵!!
ゆっくりとした動作で沖田くんは私の隣の席に
腰を下ろした。
そこだけが凄い輝いてみえて。
目をそらすことができない。
いつも通りスムーズに進んでいく授業も
いつも以上に集中できない。
緊張しながらも先生の声に耳を傾ける。
けどやっぱり隣が気になって
チラッ…と見ると彼も視線を感じたのか、
こちらを見てニコッと笑った。
瞬間、ズッキューン!!と胸を射止められてしまった。
結局、彼に気をとられて授業に集中できず
あっという間に終わってしまった。