クールな青山准教授の甘い恋愛マニュアル
脚を組んで椅子の背に持たれると、苦笑いした。
気の利いた言葉も浮かんでこない。
女の扱いには慣れているが、彼女はなんというか苦手だ。
「あの……先生、兄がドバイって?」
動揺を隠せない様子で、中村さんが本題に触れる。
「急にドバイに赴任することになって、五年は帰って来れないらしい。それで、俺がここに呼び出されて君を預かるよう頼まれたんだ」
さっき亮太から聞かされた話を彼女にした。
オーケーするとは一言も言ってないのだが……、それを彼女に愚痴っても無駄というもの。
「兄が……すみません。私は大丈夫ですから、気にしないで下さい」
そんな青白い顔で言われて、”はい、そうですか"と納得する訳がない。
それに彼女は俺のゼミ生だ。
放ってはおけない。
「君のお兄さんはマンション解約するって言ってたけど、行く宛あるの?」
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