クールな青山准教授の甘い恋愛マニュアル
彼女も不安で食欲なんかなかったのか、半分以上残していた。
支払いを済ませて店を出ると、タクシーを呼んで中村さんを三鷹にある俺のマンションに連れて行く。
閑静な住宅街にある五階建ての低層マンションの五階が俺の家。
有名な経済学者だった叔父が俺に残してくれた遺産だ。
玄関のドアの鍵を開けると、緊張で顔が強張っている彼女を先に通した。
「どうぞ」
「……お邪魔します。素敵なマンションですね」
中村さんが物珍しそうに辺りを見回す。
「ありがとう。学生時代、君のお兄さんが転がり込んで来て一緒に住んでたことがある。あいつ、家事全然やらないし、部屋は散らかすし……」
亮太の顔が浮かんでつい愚痴ってしまうが、彼女も兄への不満を口にした。
「生活能力ゼロなんですよね。それに、トイレに籠もってスマホ見てるし、突拍子もないこと言って私を困らせるし、今度帰って来たら許さないんだから」
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