クールな青山准教授の甘い恋愛マニュアル
そんな疑問を抱いたが、彼女も変に思ったようでダンボールの箱をいくつも開けて中を確認する。
「お兄ちゃんのシューズコレクションに……お兄ちゃんの洋服?……ん?荷物、ドバイに送る時間がなかったから、後で送ってね」
荷物の中からメモを見つけ、中村さんが読み上げるが、その顔は般若の面のようになっている。
ホント、どこまで勝手な男なのだろう。
俺も酷い目にあっているが、彼女に同情してしまう。
「亮太の荷物はゴミに捨てようか?」
俺の提案に中村さんは躊躇なく賛成した。
「そうですね。なくても困りませんよ」
憎しみに満ちたその笑顔を見て少しホッとする。
店にいた時は顔面蒼白だったし、どうなるかと思ったが、少し元気になったらしい。
それも、亮太らしい作戦なのかもしれない。
妹の気を逸して、本来の目的を遂行する。
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