クールな青山准教授の甘い恋愛マニュアル

スマホをポケットに入れると、不安そうな顔で俺を見ている中村さんと目が合った。
「兄からですよね?ご迷惑おかけしてすみません。すぐに住むとこ探しますから」
少し打ち解けたと思ったが、亮太との電話の内容を誤解したのか、彼女はまた俺と距離を置こうとする。
「こんな大量の荷物抱えてすぐに引っ越しなんて無理だよ。部屋は余ってるから無理しなくていい。俺のことが心配なら鍵つければいいし」
諦めさせようとするも、中村さんは首を縦に振らなかった。
「いえ、そんな心配をしてるんじゃなくて……」
同じ兄妹でも性格は全然違う。
こういうとこ頑固だよな。
亮太のような図々しさが彼女にもあればいいのにって思う。
「余計なことは考えるな。学生の本分は勉強だ。それに、君が院に進めなかったら、俺の評価が落ちる。学業を疎かにする方が迷惑なんだよ」
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