クールな青山准教授の甘い恋愛マニュアル
わざと意地悪く言って、中村さんが反論出来ないようにする。
「……やっぱり先生って最低」
はちみつ色の瞳を暗く陰らせ、彼女は唇を噛む。
これで完全に嫌われたかもしれないが、後悔はしていない。
優しい言葉をかけたら、中村さんは変な遠慮をしてここを出て行こうとするだろう。
それこそ、この荷物を全部捨ててでも……。
「文句は君の自己中な兄さんに言うんだな。さっき案内したゲストルーム、自由に使って。俺はまだ仕事があるけど、先に風呂入って休んでいいから」
突き放すように言って書斎に籠もる。
論文や学会の準備、経済誌のコラム。
仕事は溜まっている。
彼女も俺が側にいない方が楽だろうし、俺への闘志を燃やして勉強に集中出来るだろう。
< 33 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop