クールな青山准教授の甘い恋愛マニュアル
まるで小動物だな。
その仕草が面白くて、つい噴き出しそうになる。
だが、今は和んでる場合じゃない。
すぐに体温計を取ってきて彼女の熱を測る。
ピピッと体温計が鳴り、その表示を見て思わず目を見張った。
「……三十九度五分」
身体が熱いわけだ。これはマズイな。
「あの……ひとりで平気ですから、先生はもう休んで下さ……ケホッ」
中村さんは俺のジャケットを掴んでそう言い張るが、その声は弱々しい。
もし、ここにいるのが亮太だったら、彼女は素直に甘えただろうか?
中村さんの場合、変わらないかもしれない。
自分を律する子だし、身内にも甘え慣れていないような気がした。
あの亮太に甘えるのも無理があるし……な。
「その言葉、俺には側にいてって聞こえる」
からかうように言って、俺のジャケットを掴んでいる彼女の手を握る。
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