クールな青山准教授の甘い恋愛マニュアル
世間話をしながら、検査キットを見て修也が結果を淡々と伝える。
「やっぱりそうか」
その言葉に思わず溜め息が出た。
「まあ、薬飲めば、熱が下がって楽になるから」
俺の気を和らげるような前向きなコメントをすると、修也は吸入タイプの薬を取り出し、中村さんに吸わせる。
「うん、上手いね」
褒めながら彼女の吸入を見守る弟。
冷めた性格の俺と違って性格は温厚で優しいし、医者に向いている。
俺達の実家は都内の大きな総合病院で、親父は長男の俺に跡を継がせようとした。
だが、叔父のような学者に憧れていた俺は、親父の反対を押し切って家を出て、経済学者になった。
医者にはなりたくなかったんだ。
親父とは一悶着あったが、修也が実家の継ぐことで今は丸く収まっている。
じっとふたりを見ていたら、修也が俺の方を振り返った。
< 43 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop