クールな青山准教授の甘い恋愛マニュアル
「柔軟剤っていうか、これはシャンプーとかトリートメント系の香りだな。さあ、吐けよ。お前の猫って女じゃないのか?」
……なんなんだよ、その人間離れした嗅覚。
さあて、どうかわす?
「クールでイケメンな青山慧准教授のお相手って誰なんだろうな?」
左京はニヤニヤ顔でしつこく絡んでくる。
「ただの黒猫……!?」
素っ気なく答えたその時、空がピカッと光って地響きするような雷が落ちた。
その瞬間、電気がパチッと消える。
「停電か?」
左京と一緒にそう呟いて、ポケットからスマホを出して懐中電灯代わりにすると、窓の外を見た。
周辺の電気も消えている。
すぐに復旧するかと思ったが、十分経っても真っ暗のまま。
「近くの変電所に雷が落ちたらしい。三鷹と武蔵野市一帯が停電だってさ」
ネットで調べたのか、左京はスマホを見ながら告げる。
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