クールな青山准教授の甘い恋愛マニュアル
「嫌な思い出だ」
「それからだよ。兄貴がチョコ嫌いになったの」
ハハッと修也が笑うと、なぜか綾香が顔を青くしながら相槌を打つ。
「そ、そんなことがあったんですね。あっ、すき焼きの準備しなきゃ。えーと、卵」
ぎこちない動きで冷蔵庫に向かおうとした綾香は椅子に躓き、「いたっ!」と声を上げる。
「大丈夫か?」
そう俺と修也が同時に声をかけたら、綾香は乾いた笑いを浮かべながら「大丈夫です」と答えた。
なんだか様子がおかしい。
「危なっかしいな。綾香も座ってて」
ポンと彼女の肩に手を置き、強引に座らせる。
「でも……」と立ち上がろうとする綾香を修也はにこやかに止めた。
「大丈夫。兄貴に任せておけば、何も問題ないから。それより、女の子の意見聞かせてくれない?同僚にバレンタインのお返ししようと思うんだけど……」
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