死神王と約束の騎士
「こんなやつ王族と思う必要はありませんよ、母上」

柔らかい茶髪に優しそうな顔、しかしその口から出てくる言葉は優しさの欠片もない。
恐らく次期国王となるこの男はスルト。この国の第一王子である。

「…」

何も言わず、こちらを見るだけの少年は第二王子のゼロ。

そして---

「みんな、そんなにノエルを責めないであげて?ノエルも悪気があったわけじゃないんだよ」

頼んでもいないのに私を庇うこの少女はソフィア。私と半分だけ血が繋がった同い年の姉。

傍から見れば妹を庇う優しい姉だが、それはすべて自分をよく見せるためだけのもの。こいつを信用する気は無い。

これが私の家族とも言えない家族。

私さえいなければこの家族は世界一幸せなんだろう。
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