Chinese lantern
「というよりも、数が多い。藩政に逆らっての断罪のようだから、何人か一気に斬首するようじゃ」

「嫌な世の中だねぇ」

 うんざりと言い、ソラは刀を手に取った。
 輝血は主様からほおずきを受け取り、上座にある竹筒に立てる。
 ぽぅ、とその辺りが仄明るく照らされた。

「お前、そろそろその刀も扱いづらくなってきたか? 脇差にするかえ?」

 主様が、ソラの持つ刀に目をやって言う。

「大丈夫だよ。柄とかちゃんと拵えたら重いけど、これは軽いままだし」

「したが、それ以上小さくなったら、持ち運びが大変じゃろうて」

 もうちょっと小さくなったら、腰に差した刀は地面につきそうだ。

「じゃあ背負うようにするよ。別に腰に差しておかないといけないわけでもないから、普通に持って行ってもいいし」

「体力のほうはどうじゃ?」

「わかんない。別にしんどいとかないよ。死んでるんだし」

「死んではいるが、実体を持つということは、それを動かす力もいるということじゃ。そしてその力というのは、器に見合ったものであるはず。ま、今まではそう悪鬼に手こずることもなかったしのぅ」

 へーそうなんだ、と呑気に言うソラを、輝血は少し心配そうに見た。

「ま、その辺も、この依頼でわかるじゃろう」

 ソラも呑気だが、主様も大概呑気だ。
 ソラの体力が続かなくなったら、どうする気だろう。

「では刻限になったら、刑場に赴くように」

 そう言って、しゅるしゅると本殿のほうに去っていく主様を、輝血が追った。
 奥の院から本殿の間は細い廊下で繋がっている。

 だがその廊下は時に長かったり短かったり、不思議な空間だ。
 本殿が人の世であり、奥の院は異空間に浮いているらしい。
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