Chinese lantern
「ソラ、ごめん」

 頭を抱えつつ、輝血が謝った。
 ソラが、またもきょとんとする。

「わっちはえらい長い間、ソラを無視してきたんだね」

「えー? そんなこと忘れたよー」

 あっさりと言うソラに、がく、と輝血の肩が落ちた。

「うっそだ。初めて会ったときのこと覚えてたじゃないか」

「ああ、それはもちろん。運命の出会いを忘れるはずないだろ」

 えへん、と胸を張る。

「あれからは、ひたすら輝血のために体張ってきたからね~。輝血の態度がどうとか、そんなことよりも輝血が無事であればいいのさ」

 胸を張ったまま言うソラに、輝血は息をついた。
 やはり小さな子供が言ってもときめかない。

---ていうか、何考えてるんだ、わっちは。元々ソラのことなんて何とも思ってない---

 思いつつ腰を上げ、ちら、とまた水面に目を落とす。
 視線を動かした途端、よろ、と輝血がよろめいた。

「おっと。外では上手く歩けないんだったら、気を付けないと落ちちゃうよ」

 素早くソラが輝血を支える。
 主様の領域では身体が蛇になるようで、足が上手く動かないのだ。
 魂送りのときはこの地から出るので、気にならないのだが。

 が、次の瞬間、輝血はどきっとした。
 池には青年が己を包むように抱き寄せている姿が映っている。

「うわっ!」

 慌てて飛び退ろうとして、やはり足が思うように動かず、輝血はその場にすっ転んだ。
 ソラが驚いて輝血の手を掴む。

「どうしたのさ。大丈夫?」

 目の前のソラは最早十にも満たない子供である。
 だが先ほどの映像が頭に残り、輝血は慌てた。
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