不毛な恋の行方
最近、ぼーっとしていることが多い恵理奈。
「ごめんなさい、考え事してた。」
「何考えてたか、気になるなー。」
と笑うと、苦笑いをして誤魔化そうとする。
「ドライブしたいです。」
「いいよ。じゃあ今週の土曜日は
ちょっと遠出しよう。」
「はい、嬉しいです!」
「俺も。どこ行きたい?」
んー、どこがいいかなー。
何着ようかなー。
何てわくわくする恵理奈。
本当に愛おしい。
だけど、彼女から俺に対して
壁を感じてしまうこともある。
付き合おうと言ったのは俺。
職場の上司だから断れなかったのか、
でも一緒にいると、少なからず彼女から
好意を感じることは出来た。
正直言うと、
部内の奴らよりも先手を打った。
特に都築。
本気で狙ってるのは気付いている。
だけど本人は気付かず
優しい人、なんておめでたい。
そんなことをしておきながら
職場には内緒にと言った。
まだ移動になって日が浅いのに
すぐに主任である俺と付き合っているなんて
ばれてしまったら
彼女にとってプラスにはならない。
そう思っての決断だ。
だけど彼女は本当に危うい。
いつ別れようと言ってくるか
こちらが不安になってしまう。