不毛な恋の行方
そんな時は甘えればいいのに。
と言っていたけれど
断り続けて、帰路に着く。
彼は若干機嫌が悪いかも知れない。
そりゃそうだ。
あんなに買おうとしてくれているのに
頑なに断るなんて
彼にもいい気はしないだろう。
だけど奥さんが知ったら
きっと嫌だろうなと思うと
さすがに買ってもらえなかった。
車に乗って自宅方面へ帰る。
その頃には紘都さんの機嫌もいつも通り。
優しい彼。
ご飯を食べて帰ろう。と言って
車を走らせた。
着いた先はまさかのあのイタリアン。
ここは、
彼が奥さんといるところを見かけた場所。
「恵理奈?入ろ?」
何も知らない彼は中へと促す。
足が進まない。
もし、、彼が。
奥さんじゃないことを店員さんに気付かれたら
大変なんじゃないだろうか。
「おーい、恵理奈。行くよ。」
動かないわたしの手を引いて
中へと入って行った。
料理はすっごく美味しい。
だけど落ち着かなくて、
気が気じゃない。
彼が店員さんを呼び
「デザートお願いします。」
と声をかけた。
しばらくすると、
「happybirthday to you〜♪ 」
とケーキが運ばれて来た。
そこにはわたしの名前。
「おめでとう、恵理奈。
ちょっと早いけど。
お誕生日の日俺出張なんだ。」
驚いた、彼がわたしの誕生日を
知っていたなんて。
「あ、ありがとう。
知ってたんだ…。嬉しい。」
素直に嬉しくて
店員さんに
お写真撮りましょうか?
と言われてお願いした。
付き合い始めて半年。
初めて彼と二人で写真を撮った。
「はい、これ。」
と手にはプレゼント。
さっきのお店で断ったネックレスだ。
「ごめんね、
俺がプレゼントしたかっただけ。
貰ってね。おめでとう。」
「…ありがとう。嬉しいです。」