不毛な恋の行方
仕事終わりに寺西さんと
カフェに行った。
ここは職場から少し遠く、
わたしの家から少し手前の駅の近く。
寺西さんの最寄駅だ。
せめて、と寺西さんの最寄駅を
提案させてもらった。
ご飯は食べられなかったけれど
フレッシュジュースなら飲める。
「さて、なんか問題ありって感じだね。」
寺西さんが口を開いた。
「実は、奥さんがいる方と
お付き合いをしていました。
その方の子を妊娠したようです。」
そこからも寺西さんは相槌を打ちながら
黙って話を聞いてくれた。
彼が好きなこと。
だから迷惑はかけられないこと。
一人で産んで、育てること。
仕事を辞めること。
「…そっか。話してくれてありがとう。
じゃあその彼には話はしないの?」
「話さなきゃとは思ってるんです。
でも今話したら
妊娠のことも気付かれそうで。」
その後も色々な話を聞いてくれた。
お姉ちゃんの家に住んでること。
ご飯を食べられてないこと。
色々な思いはあるだろうけど
寺西さんはずっと耳を傾けてくれていた。
「ありがとうございました。
ほんと、少し気が楽になりました。」
「今日は?お姉ちゃんの家?」
「いえ、今日はもうここまで来たので
一度自分の家に帰ります。」
「気を付けてね?」
「本当にありがとうございます!
明日からまたよろしくお願いします。」
そう言って寺西さんとは別れ、
家路に着いた。