不毛な恋の行方
「…恵理奈。やっと会えた。
なんか俺に言いたいことない?」
わたしの住んでいた
マンションの前に彼が居た。
信じられない。
このタイミングで会っちゃうなんて。
「紘都さん。どう、して?」
ぼーっと立ち尽くすと、
「恵理奈?
どうして連絡取れなくなる」
紘都さんの表情は
本当に心配してくれているようだ。
「ごめんなさい。別れましょう。」
わたしの言葉に驚く様子もなく、
「別れるなら、
俺に納得できる理由を頂戴?」
…納得できる理由?
あなたの子どもを妊娠しました。
堕したくないので、一人で育てます。
認知も要りません。
なんて、言える訳ない。
「もう、好きじゃないんです。」
こんなに好きなのに、
好きじゃないなんて。
嘘でも胸が締め付けられる。
俯いていて、彼の表情を見れない。
「仕事、辞めるの?」
「はい、実家の仕事を手伝おうと思って。」
「…」
「主任、今までお世話になりました。」
それ以上何も言えず、
涙を堪えながらその場を離れる。
「待って。恵理奈。
俺、納得してないんだけど。」
そう言って腕を掴む紘都さん。
人が決心してるのに。
ああ、涙腺が決壊する。
もう振り回されたくない。
「何ですか!?
もう、いい加減にして下さい!
わたしだって…!!」
離れたくない。
本当はずっとそばにいたい。
あなたの子どもをあなたと育てたい。
「わたしだって、何?
恵理奈もまだ言いたいことあるんじゃない?」