不毛な恋の行方
「今日の飲み会園田さんも参加するよね!」
昼から仕事に戻ると
営業の都築さんから声を掛けられた。
都築さんはいつも気にかけてくれる、
移動してすぐは本当にありがたかった。
「はい、参加させて頂きます!」
そう返事をすると、
やったー!なんて営業スマイル。
「じゃあ仕事頑張ろうね。」
そう言いながら自分のデスクに戻って行った。
「ねぇねぇ、都築さんって
絶対そのちゃんのことお気に入りだよね!」
なんて笑顔で耳打ちしてきたのは
同じ営業事務の寺西さん。
3つ上だけど気さくで何でも教えてくれる
気も効くし、優しくて楽しい先輩。
「そんなことないですよー!
わたし営業では日が浅いから
気にかけて下さってるんですよ!
寺西さんもいつもありがとうございます!
本当に営業のみなさんは
優しくて大好きです!!」
と言うと、
そのちゃーん!と抱きしめてくれた。
「はい、そこの二人。働いてね。」
ふっと顔を上げると、
そこには高梁主任。
「すみません。」と、謝るわたし。
と、
「だってー、そのちゃんが可愛いんですもん!
主任も思いません?」
何て言う、寺西さん。
主任もわたしの方を向いてニッコリ。
「確かに可愛いね、
だけど今は働こうね?」
なんてすぐ苦笑い。
「ですよねー!」と返して
主任から書類を受け取り、
仕事を始める寺西さん。
主任、可愛いって。
社交辞令でも嬉しい。
「よかったね、そのちゃん。」
なんてまた耳打ち。
わたしが主任に憧れていることを知っている
寺西さんはいつもこうやってからかってくる。
それでもピンチには助けてくれるし
なんなら主任とも関わる機会を
くれている気がする。
ちらっと主任を見ると
目が合った。
やばい!働かなきゃ。
と視線を手元に戻し、パソコンと向き合った。